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Sellers.Json と Schain はいかにしてバイヤーための透明性を高めるのか?

5月 4, 2020
By ジョン・クライマン

これまでのプログラマティックエコシステムにおける透明性は、必ずしも高い水準にあったとは言えないでしょう。ただ業界が成熟へと向かう過程において、バイヤーが十分な情報を得た上で意思決定を行えるように、ブラックボックスをこじ開け、必要なデータを開示しようという試みが業界全体に広がっています。

昨年 IAB Tech Lab がリリースした二つの基準が業界の革新的な一歩を踏み出しました。Sellers.json および OpenRTB SupplyChain オブジェクト (またの名を「schain」、入札リクエストに含まれます) が、入札リクエストで仲介者としての役割を果たす当事者すべてを開示できるようになります。これによって、DSPまたはバイヤーが、インベントリがどこのエクスチェンジやSSPから来ているのかを知るだけでなく、コンテンツクリエイターであるPublisherまでの支払いプロセスを追跡できるようになりました。

このシリーズでは、「sellers.json」と「schain」について知っておくべきことと、それらを賢く使用する方法について3部構成にて解説していきます。最も重要なのは、「sellers.json」と「schain」を使用してより好ましい購入経路を選択する場合、大なたを振るうのではなくメスを入れるということです。その理由および分析する時混乱させる遠因となりうる潜在的な誤解を回避する方法について説明します。

インベントリの始点

プログラマティック広告の入門編というべき理想的な世界があったとしましょう。ここでは、パブリッシャーまたはアプリ開発者はSSPまたはエクスチェンジと直接連携します。そして、バイヤーの代わりに入札するDSPにインベントリへのアクセスを与えられます。もちろん、現実世界の関係はより複雑で、より多くの関係者が介在します。 

ただこれまでのところバイヤーは、一般的にDSP以降の買い付けプロセスがあまり可視化出来ていない状況になっており、 1 段階しか見ることができないのが常でした。DSPが特定のSSPまたはエクスチェンジから買い付けたのは知っていましたが、それ以降どの関係者たちからインベントリを買い付けたのでしょう?

ヒント:パブリッシャーやアプリ開発者以外の関係者であった可能性があります。

実際、サイトでインプレッションを買い付けるバイヤーは、それが可能な限り最も直接的な経路で買い付けたものか、それとも他のさまざまな中間業者を経由して買い付けたものなのかがわからない場合があります。そして、中間業者が介在するとき、彼らはインプレッションの価値を上乗せするかもしれないし、しないかもしれません – ただほとんど間違いなく手数料が追加されていて、中にはリスクを伴うケースもあります。

schain と sellers.json は、完全なサプライチェーンを再構築する方法や必要レベルの透明度をバイヤーに提供します。また、さまざまな中間業者がどのような形で関与しているのかを明らかにし、これらの当事者がどのようにインプレッションの価値を上乗せするかについてのより効果的な意見交換を可能にしました。

プロセスの流れ

「schain」と「sellers.json」は、互いに連携することで最大の機能を発揮する、それぞれ独立した業界基準です。sellers.json は、中間業者 (元のパブリッシャー、アプリ開発者、またはコンテンツ所有者とDSPの間にいるいずれか) が自社の企業ドメインに設置するファイルです。(ちなみに、sellers.json は通常の場合「セラーズ・ドット・ジェイソン」と発音されます。JSONは、データ構築の際に機械で読み取る方法としては一般的なもので、特にアドテック業界固有のものではありません)

sellers.json ファイルは、特定のパブリッシャーIDへ実際に広告費を支払った中間業者のビジネスエンティティ (場合によっては個人) を記載しています。また、これらのエンティティは、それ自体が真の「パブリッシャー」 (実際のコンテンツクリエイター) であるのか、「仲介者」 (対価を支払う相手を明示するために独自の sellers.json ファイルを投稿する必要がある)であるのかも示されています。ルビコン・プロジェクトの sellers.json はこちらからご覧ください。

schains は入札リクエストに埋め込まれています。DSPに向かう過程で入札リクエストに触れるそれぞれの仲介者は、(支払い処理に関与している場合のみ) 自身を「schain」に追加します。完全な schain がDSPに到達すると、公開された sellers.json ファイルとの照会が行われ、パブリッシャーまで遡って支払いを受け取ったエンティティを特定できます。

チェーンが短い場合もあります。ルビコン・プロジェクトがパブリッシャーと直接関係があるときにDSPがルビコン・プロジェクトから schain を取得した場合は、sellers.jsonを検索してパブリッシャーのIDを確認するリンクが 1 つだけ含まれることになります。ただし、支払いフローに他者が参加していることもあります。

次の記事では、schain の違いが意味すること、さらに購入行動を形作るために大なたを振るうのではなく schain と sellers.json をメスとして使用する方法について説明します。


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