コミュニティー主導によるファーストパーティーIDのメリット

コミュニティー主導によるファーストパーティーIDのメリット

7月 29, 2019
By 最高技術責任者(CTO) Tom Kershaw

このコラムは2019725日に AdExchanger に初掲載されたものです。

今時サードパーティー Cookie の終焉について予言したところで、誰も驚かないでしょう。過去10年間、デジタル広告の基軸通貨としての役割を担ってきたサードパーティー Cookie への風当たりはますます強くなっています。規制当局はプライバシーに関する制約を強めており、より多くのユーザーがユーザートラッキングのオプトアウトを選択しています。Google による Chrome 上でのサードパーティー識別子の全面禁止が目前に迫っており、間もなく終焉を迎えることが明らかです。パブリッシャーの収益やマーケターの実績が脅かされる中、その代替措置となるものについて、未だ業界全体のコンセンサスとなるものが存在しない状況です。

そのような中で朗報といえるのは、アドテクにおけるパブリッシャー指向のオープンソース化と標準化という業界トレンドや団体が存在しており、この解決策を生み出すかもしれないということです。そしてこの解決策は、パブリッシャーにCookieスペースの直接制御の提供するのに適した業界団体によって管理されています。

特に Prebid.org は、パブリッシャーが自身のページでどの標準化IDを許可するかを制御できるヘッダー入札の標準を開発しました。(情報公開:筆者は Prebid.org の理事会の一員です。)次のステップは、パブリッシャーがヘッダー入札ラッパーでファーストパーティー Cookie を管理し、どのIDがどのバイヤーに送信されるかを制御可能にすることです。

しかしここで Prebid の潜在能力について語る前に、まずは Post-Cookieの世界に与えられた共有IDの、メインとなる4つの選択肢を見ておきましょう。もちろん、Prebid はそのうちの一つです。

選択肢を比較する

永続的ブラウザID大半のモバイル機器やCTVでは、基本的なユーザーモデリングやコンバージョントラッキングができるリセット可能な単一のデバイス識別子がサポートされています。永続的ブラウザIDでは、それと同様のシステムをウェブに適用することで、すべてのデジタル広告のために単一のフレームワークを構築し、モバイル機器をその他すべての機器と同様の環境へと誘うことができます。残念ながら、このモデルは主要ブラウザのサポートに完全に依存するものであり、現在このモデルをサポートする主要ブラウザは皆無となっています。

シングルサインオン:この方式では数百にわたるサイトやアプリにおいてユーザーに単一パスワードの使用を求めるもので、独立したパブリッシャーにウォールドガーデンと同様のメリットを提供できます。意義のある挑戦ではあるものの、ユーザーにログインしてもらう試みは、ほとんどのサイトにおいて失敗に終わっています。20億人のユーザーどころか、数百万人のユーザーであっても、ログインさせるのはほぼ不可能に思えます。

コンテンツ連動型広告:コンテンツを活用してオーディエンスに接触を試みることは、決して新しいアイデアではありません。プログラマティック広告も、オーディエンス・ベースのバイイングに取って代わるまではコンテンツ連動型でした。この方式は依然として、いかなる識別子をも拒否するユーザーをターゲットにする唯一の選択肢ではあるものの、興味・関心ベースのターゲティング広告と比較して、そのマネタイゼーション率は最大70%減となっています。特に Safari ではギャップが小さくなりつつはあるものの、消滅までにはかなりの時間を要するでしょう。

ファーストパーティー Cookie長年にわたり、パブリッシャーはユーザーの嗜好やその他の条件に合わせたコンテンツ作りのため、ファーストパーティー Cookie を利用してきました。しかし、サードパーティー側からこれらの Cookie を読めないことが、現在見られる独自サードパーティIDの激増(とそれに対する反動)につながっています。パブリッシャーが所有する単一の標準化IDへの移行により、これらの混乱は軽減され、ユーザー体験は向上し、デジタルターゲティングの逆行を防ぐことができます。Digitrust TradeDesk OpenID、また LiveRamp IDL は独自仕様IDの削減に貢献しているものの、これら自体がサードパーティーモデルに基づいているため、その効果は徐々に失われていく運命にあります。そのため、これら標準的なソリューションの効果を長期的に継続するには、ファーストパーティーIDの礎となるものが必要となります。

誰でもファーストパーティー Cookie が利用できるように

ファーストパーティーモデルがすべての人に活用されるには、まずパブリッシャーにとって有用である必要があります。しかしこれまでのところパブリッシャーは、サードパーティーに対して自身のドメインスペースを開放しなければならないソリューションの導入には、当然のことながら及び腰でした。

Prebid では、ヘッダー入札ラッパーでファーストパーティー Cookie ID管理をサポートするよう仕様を更新することで、パブリッシャーはこの要件から開放されることになります。このことに加えIAB 等の Cookie 規格団体のリーダーシップにより、パブリッシャーの収益確保、マーケターによる目標の実現、ユーザーにはコンテンツのアクセスに登録を必要としない選択肢の提供を可能にするために、ファーストパーティー Cookie が実に有効な手段となっていくことでしょう。

コミュニティー主導のアプローチへ

将来においてIDは、個々の企業が競争力を得るために利用するものではなく、コミュニティーによって共有される資産となることでしょう。ファーストパーティー ID とオープンな基準を組み合わせにより、自社のコントロールを失うことなく、マネタイゼーションを強化する方法を模索するパブリッシャーが増加しつつあります。このことは最終的にマーケターとエンドユーザーにとても素晴らしい結果をもたらします。端的に述べるならば、IDの未来は、標準化、オープンソース化、そして協力関係にかかっているのです。

ルビコン・プロジェクトのID関連の取り組みについての詳細は、contact@rubiconproject.com までお問い合わせください。


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